お買い物アンケート成功ポイント③単純集計とクロス集計
最終回の今回は代表的な集計方法「単純集計」と「クロス集計」の違いについて簡単にまとめました。アンケートを作成時の参考として頂ければ幸いです。
①代表的な集計方法「単純集計」と「クロス集計」。
どちらの集計も「その選択肢を回答者(対象者)全体の何%が選んだか」と言うことが基本となります。また、アンケート集計での代表的な集計方法では、「単純集計」と「クロス集計」が挙げられます。いずれの集計でも事前に設問内容を絞って必要最小限に抑える。必要最小限に絞る為には前々回の①「目的とゴール」を明確にすることがまずは必要です。
②単純集計とは。
「単純集計」とは、各質問項目別に、回答者全体の度数(n数)とパーセンテージ(%)を算出した集計です。主に全体の傾向をつかむことを使用目的とし、母数や無回答などを見て、項目の対象者の条件をチェックする時にも使用します。単純集計はエクセルの計算式などでも誰でも簡単に出来るので、私が訪問した店舗でのアンケート調査の90%以上がこの単純集計で集計していました。
勿論、単純集計でもさまざまなことが読み取れますが、よりアンケート結果の深堀りをし、課題やその要因を絞り込む為には、属性別や質問項目別でかけ合わせて詳しく集計する「クロス集計」が必要です。
③クロス集計とは。
「クロス集計」とは、複数の設問(項目)を縦横に掛け合わせて(クロスして)集計するもので、性別や年代などの属性や、特定の設問(項目)の回答別に傾向を見ることが出来ます。項目を1つの表の表頭と表側に分け、それぞれのカテゴリーが交わるセルに、該当する回答数(サンプル数)や回答比率を記載した集計表です。
④単純集計とクロス集計との比較
下記はある農産物直売所で行っていた「お客様の声をお聞かせください」と題したアンケート調査です。
●設問内容
①男性・女性 ~20代 30代 40代 50代 60代~
②ご利用回数は何回目ですか? 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目以上
③農産物の品質はいかがですか? 良い 普通 悪い
④農産物の価格はいかがですか? 安い 普通 高い
⑤加工品の品質はいかがですか? 良い 普通 悪い
⑥加工品の価格はいかがですか? 安い 普通 高い
⑦従業員の接客はいかがですか? 良い 普通 悪い
この中で②のご利用回数は何回目ですか?と言う設問を「単純集計」と「クロス集計」で集計した違いのイメージを見てみて下さい。
●上側は来店回数の「単純集計」、下側は来店回数と年代別での「クロス集計」
![](../img/MR4.jpg)
![](../img/MR5.jpg)
同じアンケート用紙、設問でも集計方法によって訴求の広さ深さ伝わり方が違ってきますね。><
「単純集計」では全体の傾向。「クロス集計」では年代別ごとの傾向。
今回の結果ですと来店頻度については全体的にはリピータがまだまだ少なく、特に20代が極めて少ないことが分かります。反面シニア世代については来店頻度が高くなりある程度の安定したリピータが存在する傾向が伺えました。これにより対策案としては、①若年層のリピータ確保=若年層がリピートし易い飲食メニューや農産物以外の商品(例:スィーツ等)を検討。②シニア層の満足度アップ=シニア層のリピートする要因(シニア受けしている材料)を再度深堀りし、それを徹底的に拡大強化する。(例:畳の休憩所が好評、和菓子セットが評判など)③上記の様に、最終目的はリピータの安定拡大なのですが総論でやらないこと。①②の年代別で分けてバランスを取りながら対策を講じることが重要です。そうでないと、①の若年層強化ばかり進んでしまい、今の基盤を作っているシニア層が寄りつかない本末転倒の店づくりになってしまいます。
「クロス集計」の場合、全体一律の「良かった、悪かった」では無く特定の項目に絞って深堀りが出来るので抽出された課題に対してもより的を絞った対策が打てるので有効です。
これからお買い物アンケートを計画中の店舗は是非「お買い物アンケート成功のポイント①②③」読んで、立案実行してみてください。